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第165回小麦句会結果発表

 投稿者:宙虫  投稿日:2009年 7月 8日(水)22時07分16秒
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  夏波の底で聞こえる都市伝説   宙虫

(選外)(幹夫)夏の地理季語「夏波」の句。火星人襲来、ナウシカの舞台が火星、富士の樹海では方位磁針が正常に動作しない(実際には僅かな狂いは生じるものの方位が分からなくなるほどではない。)etc.最近では「2ちゃんねる」の存在も都市伝説の一つだろうか。深海に聞こえる地上の都市伝説とはどんなものなのだろう。「夏波の飛沫のやふな淡き恋(幹夫)」とは18歳の頃の切なさだ。

雲の峰一目散に伝書鳩   典子
○(徹)伝書鳩が飛び立つ先に入道雲が湧き立っているという夏の点景をうまく詠ったよい句と思います.

伝へ聞く万の叫びや原爆忌   幹夫
◎(小玲)幾万の被爆者の叫びの瞬間と惨絶が刻まれています。広島と長崎の彼の忌まわしい被爆の悲しみやアメリカへの憎しみは永遠に語り継がれていくのでしょう。

凡人の汗も同じか偉人伝  泉

(選外)(徹)一種の諧謔味がよく出ていると思います.

出航を伝える手旗雲の峰   アネモネ
○(珠子)景がはまり過ぎ・・とも思いましたが、でもかっちりと俳句らしい俳句です。
○(幹夫)夏の天文季語「雲の峰」の佳句。手旗を振る人、航海に出る船、せりあがる峰雲と、近くから遠くへと夏の眺めが鮮やかに映る。「峰雲や穏やかならぬ予感して(幹夫)」の心境。

(選外)(徹)手旗と入道雲の取り合わせが憎い句です.

伝言は大きな文字で夏の駅   小玲
◎(吾郎)最近駅の伝言板が減ったような気がする。メールやらケータイやらのあおりかな。掲句は当然田舎の駅。もちろんでか文字での「2時間待った‥‥サチコ」とかだろうなぁ。
○(幹夫)夏の時候季語「夏」の佳句。学生時代妻との中距離恋愛の頃、週末のデートの待ち合わせ場所は渋谷の忠犬ハチ公銅像の尻っぽの後ろ10cmとが彼女との決め事であり、当時山手線渋谷駅前交番に伝言板はたぶんあったがそれを使ったことはない。「待ち人の来ぬかもしれぬ夏の駅(幹夫)」などとあの頃を思い出し、携帯メールでいつでも連絡が取れるようになった最近は恋愛形態も変化したものである。
○(典子)素敵な句です。恋人との夏の思い出なのでしょうか。今は携帯電話の流通で改札口近くの伝言板も見かけなくなり駅の伝言板は懐かしい光景です。
○(泉)恐らく田舎の駅なのでしょう。ユーモラスな中にも、懐かしさを感じます。
〇(宙虫)多分、この素直さが初々しいんですね。

小作人の伝えかすむや青田風   徹
○(小玲)「小作人」という差別っぽい用語が大胆だと思いました。そういう呼ばれ方だったこともあったのですね。田の一面に育った稲に吹く風がすがすがしいです。

伝助や昼間訛る日焼けすんで   吾郎

でで虫や雨だくだくと幹伝う   珠子
○(典子)素敵な句です。強い雨が流れる木の太い幹にでで虫がぴったり張り付いています。
◎(アネモネ)雨だくだくとがいいですね。幹伝う雨の進行の遅速の形が見えます。

(選外)(幹夫)童謡「でんでん虫々かたつむり お前のあたまはどこにある つの出せやり出せあたま出せ・・・♪」との夏の動物季語「でで虫」の句。「雨だくだく」とは「汗だくたく」と形容されるように雨が盛んに流れるさまであり「かたつむり無限の時間を這ふてゐる(幹夫)」と、蝸牛は雨の幹に這い上がり若葉を悠長に食べている。
(選外)(徹)「だくだくと」が新鮮です.

白服の車掌のうしろ夕焼ける   珠子
○(泉)白服の背中が真っ赤に染まる。ワン・シーンが目に浮かびます。

(選外)(幹夫)夏の季語「夕焼ける」の句。白い車掌の服と真っ赤に染まる夕焼けとが対象的だ。「釣り人の並ぶ波止場や夕焼くる(幹夫)」

涼しさは麻ののれんの真砂女の句   アネモネ
◯(吾郎)気持ちのいい、からっとした雰囲気。いい案配。
〇(宙虫)書かれている文字やゆれ具合まで想像しました。

(選外)(幹夫)夏の時候季語「涼し」の句。俳人・鈴木真砂女は96歳大往生までの波乱の生涯の中、銀座の路地裏に「卯浪」という小料理屋を開いた。麻ののれんに書かれているのは「羅(うすもの)や人悲します恋をして(真砂女)」それとも「来てみれば花野の果ては海なりし」との辞世の句だろうか。「せせらぎの丸太の橋の音涼し(幹夫)」

風薫る湿原染めし高嶺花   徹

(選外)(幹夫)夏の天文季語「風薫る」の句。取り合わせの「高嶺花」とはあこがれるだけでほど遠く手に入れることの出来ない片思いだろうか。「朝先づ腹筋すれば風薫る(幹夫)」はNHK俳句7月号兼題「風薫る」(高野ムツオ選)の佳作句。

桑の実や唇赤く手も赤く  泉
○(小玲)桑の実ははじめ赤色でやがて7〜8月に紫黒色に変じて熟します。熟した桑の実をもいだ手も口も赤く染めながら食べている様子が詠まれていてテンポの良い句だと思います。

白髪うとうと暇秘湯唐辛子   吾郎

洋館に血染めの軍靴敗戦忌   幹夫

街暮れてひとのにおいの紫陽花あおい   宙虫

藍染の浴衣は母の置土産   典子

頬染めて振り返る児や大夕焼   小玲
○(幹夫)夏の天文季語「大夕焼」で「児」との遠近を詠んだ佳句。赤く染まる大夕焼を背景に振り返る児の頬っぺたも赤色に染まっている。「夕焼の瞼を閉ぢて未だ赤く(幹夫)」は俳句雑誌「ににん」(21.7.1発行)掲載の拙句。
○(徹)暑さに負けずに外で遊んでいた,そして夕焼けに負けないくらいに赤い頬の子供,活き活きとしたさまがうかがわれるよい句と思います.

選外(吾郎)ほほ染めてが惜しい。染まるのはわかってるので、もうひとつ表情や情感が欲しかった。

小遣いはサイダー代さハイ和子   吾郎
◎(珠子)回文とは思えない滑らかさに脱帽しました。友人に和子が何人かいますが、或る時代では一番流行った名のようですね。その時代とサイダーがダブります。
○(アネモネ)このシンプルさがたまらんです。
○(泉)何だか郷愁を感じますね。「サイダー」昭和の前半でしょうか。
◎(宙虫)サイダーと和子・・・。このノスタルジックさが「昭和」です。

(選外)(幹夫)夏の生活季語「サイダー」の回文句。小学生の和子さんはシュワッと爽やかサイダー、近い将来「CCレモン」も夏の生活季語になる予感。「太陽に向かひサイダー一気飲み(幹夫)」と詠むが、くれぐれも大学生の生ビール一気飲みは危険である。

あの山は水の感触うつぎ咲く   宙虫
◯(吾郎)水の感触の見立てがステキ。季語はまだ動きそう。
○(珠子)「あの山は水の感触」私にはこういう感性が乏しいのが悲しい。山を見て育ちましたが、山はあるのが当たり前でした。どんな山を見て・想って「水の感触」となったのか作者の心をのぞいてみたい気がします。「うつぎ咲く」が静かで泣けてきます。
○(徹)山を「水の感覚」とする感性,緊張感と「うつぎ」の開放感をバランスよく詠んだ良い句と思います.

(選外)(幹夫)夏の植物季語「空木(うつぎ)の花」の句。あの山には雨が滴りこの空木の花には優しい水の光が差している。卯の花として親しまれる空木の花には夏の到来を告げるほととぎすとの取り合わせが妙で「卯の花の匂う垣根に ほととぎす早も来鳴きて 忍び音もらす夏は来ぬ・・・♪」は大好きな小学校唱歌である。

満天の星のゆらめくキャンプの火   小玲
◎(幹夫)夏の生活季語「キャンプの火」の佳句。満天の星を背景にキャンプの火の燃える様子が美しく写生されている。「燃〜えろよ燃えろ〜よ炎よ燃えろ 火〜の粉を巻き上〜げ天までこがせ〜♪(栗田孫一作詞)」と、キャンプファイヤーには欠かせない「燃えろよ 燃えろ」の歌のメロディーはフランスの古曲だそうだ。「キャンプの火消して湖畔の静かさや(幹夫)」
◎(典子)とても素敵な句です。燃えているキャンプの火が満天の星に素敵にゆらめいています。
○(アネモネ)おお、懐かしいジエッとストリーム。しばらく海外にいってないなあ。

入り婿が綺麗にさばく初鰹   典子
◯(吾郎)こういう市井のちょとしたイロニィは好き。
◎(徹)初鰹を綺麗にさばくことで,きりっとした婿さんが一層引き立つ思いがします.清々しいいい句と思います.

さみだれも傘に楽しく小学生  泉
○(典子)素敵な句です。五月雨に続き梅雨のこのごろ「今日はあいにく雨で」とかの冒頭の挨拶ですが児童にとっては傘も玩具になる楽しい雨なのですね。「今日はあいにくの晴れなので〜」と聞いたことはありません。

(選外)(徹)作者の小学生に注ぐ暖かいまなざしが感じられます.

農耕車優先蛍の里に入る   珠子
○(アネモネ)ことしはいろんなところで蛍復活の話をききます。エコですねえ。
◎(泉)いかにも農村の道という感じです。ゆったりとした自然の感覚が良いと思います。
〇(宙虫)「蛍の里」。自然と言いながら、自然ではない。人間が蛍を呼ぶために手を尽くしている。最近の蛍は人工的なにおいがします。ある種、複雑な農耕車優先なのです。

面取れば少年剣士玉の汗   幹夫
○(珠子)説明が全くいらない句ですね。見てきっちり描くことを長いこと忘れてしまっている私です。いかんいかん。
○(小玲)「少年剣士」と「玉の汗」とがピッタリで剣道の稽古後の少年のほとばしる汗がすがすがしいです。

芙美子忌の芙美子の庭の今年竹   アネモネ

(選外)(幹夫)6月28日は山口県出身の小説家・林芙美子の忌日だった。句の作者の名も芙美子、林芙美子に肖っての命名かもしれない。数十年前の記憶にさかのぼるが、NHK連続テレビ小説「おはなはん」の主題歌は「い〜つでもあ〜かるく〜〜〜え〜がお消さないおはなはん・・・♪」と今でも口ずさむことが出来る。「おはなはん」とは林芙美子のことである。つい先日の7月1日、女優・森光子(89)がその林芙美子の自伝小説「放浪記」を前人未踏2000回を演じたことにより国民栄誉賞を受賞したことには頭が下がり、まだまだ彼女の舞台でのでんぐり返しを見ていたい。竹林の中でも薫風にそよぐ皮を落とし成長した筍「若竹」こと「今年竹(夏の植物季語)」はひときわ目を引くものであり、「芙美忌」との二重季語もあまり気にならない。「まつすぐにただまつすぐに今年竹(幹夫)」

遠雷や馬齢重ねし果てに夢   徹


★★★★
お疲れ様でした。
いやあ、暑いですよ。
雨になるといいながら雨が落ちてこない。
不快指数急上昇。
湿気がすごい毎日。
これも梅雨ですね。
結果をお届けしました。

いましばらくご歓談を。

次回は吾郎さんが満を持して告知します。
では、吾郎さん。
よろしく!

今から温泉にでも行ってこようかな?
暑すぎます。
 
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