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第164回小麦句会結果発表

 投稿者:宙虫  投稿日:2009年 6月21日(日)20時36分17秒
  通報 編集済
  こんばんは。
雨が降りそうで降らない。
今、すごく熱風が吹いています。
不快指数ぐんぐん。
梅雨です。
そして、雨が欲しい。
でも、土砂降りだけはご勘弁をと。

それでは、結果発表です。

二代目に父の下がりの浴衣かな  泉

(選外)(幹夫)夏の生活季語「浴衣」の句。どんな職業の二代目かと想像しながらその初代のお父様は勇退はしたもののご健在だと読みたい。「浴衣」という優しい季語で、息子に託す父の子への信頼と父子の絆を感じる。「十五より浴衣の君の美しき  幹夫」は東京に居る愛娘に。

平成の御代ヒロシマの夾竹桃  典子
○(小玲)「御代(みよ)」と片仮名「ヒロシマ」の表現から昭和20年8月6日の被爆と長崎への原爆を経て8月15日の玉音放送を伏し聴く民の心を思い浮かべます。広島の街路樹に広島市の花「夾竹桃」が綺麗に花を咲かせています。

刻まれた累代の墓誌青葉雨  徹

一枚の代田に千の蛙鳴く  幹夫
◎(吾郎)谷間の村だろうか、さして裕福ではないが満ちあふれる自然のエネルギーが素晴らしい‥‥などと。
○(アネモネ)ちょっと上手すぎが難。型にはめてしまったのが損。
◎(小玲)一面に水を湛える大きな代田の中に蛙がびっしり鳴いている光景です。夏季語の「代田」ですからカエルは田んぼの畦に引っ付いて鳴くヒキガエルでしょうか。「一枚」に対し「千」とに句のスケールが拡がりました。
◎(泉)ユーモラスな中にも、圧倒的な生命力を感じます。

(選外)(徹)蛙の鳴き声のかまびすさがよく伝わってきます.

緑陰の村を時代が埋めてゆく  宙虫
○(徹)ここ10年余りの変貌は甚だしいものがあります.よく表現されたいい句だと思います.
○(泉)草深い山里にも、時代の波は押し寄せて来る、という事でしょうか。
◎(餡子)その時代その時代で、村はずいぶんと様変わりしているのでしょうね。分校がなくなり、新幹線が通り、家には家族ぶんの車がおかれ、・・しかし、変わらないのはもっと大きな自然。好きな句です。

白きことくちなしの花雨の闇  泉

(選外)(徹)雨の夜に浮かぶくちなしの白い花,情緒がうかがわれます.
(選外)(幹夫)夏の植物季語「くちなしの花」の句。「白」と闇如き「黒」との対比に注目。そう言えば、渡哲也の「くちなしの花」の歌により「お前」という呼び方も女性への愛情表現の一つだということを知った。「梔子の花の浮き立つばかりかな  幹夫」

八代節肴は炙った烏賊でいい  小玲
○(珠子)流行りましたね。・・・女は無口なほうがいい・・・。こういう時代の雰囲気を大切にしたい方はたくさんいらっしゃるのでしょうが、今を、饒舌にぬくぬくと生きている私にはちょっと苦しい。
○(典子)烏賊を肴に八代節いいですね。主人が隣りで歌ってます。捕鯨船の航海士だった父は石川さゆりファンです。

(選外)(幹夫)夏の動物季語「烏賊」の句。「肴は炙った烏賊でいい・・・・・♪」八代亜紀の歌「舟歌」を思わず口ずさんだ。晩酌の肴に炙り烏賊とはヒット。「黄金色して烏賊釣りの竿の先  幹夫」
(選外)(泉)懐かしいですね。名曲です。

二死満塁代打三振月涼し  餡子
◎(珠子)まず、畳みかけるようなムダのないリズムに惹かれました。逆転を狙って二死満塁に代打・三振。なのに月は知らん顔で涼しげ。季語にもムダがありません。
○(泉)見ている人々は熱狂しても、月には関係のないことです。ユーモラスですね。

(選外)(幹夫)夏の天文季語「月涼し」の句。1試合にただ1回のチャンスしかない代打稼業。絶対場面の二死満塁で打てばヒーローになるはずだったが三振でジ・エンド。最後の空振りを夏の月が涼しく笑っている。「月涼し吾の金子も亦涼し  幹夫」

一代で閉じる覚悟の水を打つ  珠子
○(アネモネ)なるほど。きっぱりした覚悟。

(選外)(徹)潔い水打ちですね!
(選外)(幹夫)夏の生活季語「水を打つ」の句。「一代で閉じる覚悟」と「水を打つ」の取り合わせが密着している。

十薬の花の代官屋敷跡  アネモネ
○(徹)代官屋敷の風情がよく表現されたいい句だと思います.

草取りや君が代が幹槍と柵  吾郎

紫陽花の雨や笑ってから哀し  珠子
◎(アネモネ)季語がきれいすぎ。もっと目線の低い季語にするといいのでは。
〇(宙虫)なにやら続きがありそうな、フェイドアウト気味な下五。おせっかいの虫が騒ぎ出す。

(選外)(徹)笑った後の哀しさ,空しさ,よくあります.さっきの笑いは何だっとのか.
(選外)(幹夫)夏の植物季語「紫陽花」の句。紫陽花には雨が似合う。「雨や」で切れているので笑ったのは作者であり、笑ったあと悲しいのではなく、ものの哀れをしみじみ感じているのだろう。「紫陽花の無比に集ひて滴かな  幹夫」

傘開くまでもない距離花槐  宙虫
○(吾郎)頭のフレーズがいいな。
○(珠子)息子さんか娘さんの家との距離でしょうか。駅やスーパーまでの距離でしょうか。我が家は「飴溶け切らぬS距離」ですね。

(選外)(徹)降りみ降らずみの状況をうまく詠っています.

傘の咲く通学が鬱草の坂  吾郎
○(珠子)入学式の翌日雨が降りましたら、娘が「雨の日も学校にいくの?」と真顔で聞いてきたので、私は仰け反るほど驚きました。考えてみたら、ひとりで傘を差して歩いた経験はなかったのでした。しばらくの間、傘の咲く日が母子の鬱となりました・・・。30年も前のこと。
〇(宙虫)「草の坂」のひとことになんだかじんと。少年はほんとうは雨でも楽しめるんですが。

(選外)(徹)「傘の咲く」という表現,感心しました.
(選外)(幹夫)「草」を夏の植物季語として読んだ。句のとおり通学や通勤には雨はうっとうしいものだから、出勤朝、毎日放送「みのもんた朝ズバッ」のお天気姉さんは、通学児童や行楽、外で仕事をする人達あたりを対象として「今日はあいにく雨模様です。」と言う。一方、雨を恵みとする人も結構多い。八代亜紀が歌う「雨の慕情」の「雨雨ふれふれもっとふれ 私のいいひと連れて来い・・・・・♪」のいいひとの職業は土方だと思う。

久に訪う実家は雨に花空木  徹

十薬の白の極まり雨上がる  餡子

(選外)(幹夫)夏の植物季語「十薬」の句。握ると臭さが取れない舗装のアスファルトさえ貫く通称「どくだみ」こと十薬の白い花はとても美しい。転勤族は「どくだみのやうに生きたし根無人  幹夫」と詠む。

雨垂れの合間に牡丹ひとつ落つ  典子
○(徹)落ちた牡丹へのいとおしみがよく伝わってくるいい句だと思います.

山腹の墓石に雨と夏の菊  小玲
○(幹夫)夏の植物季語「夏の菊」の句。夏雨が墓石を打ち続ける中先祖に菊の花を手向けた。「山腹(さんぷく)」「墓石(ぼぜき)」と何れも音読みのリズムで読んだ。、墓石に打ちつけられる雨が「桜」と共に国花である季語「夏の菊」により美しい光を増している。「ふうわりと考に寄り添ふ夏の菊  幹夫」
○(典子)墓石に当たる雨の音が聞こえてきそうで「夏の菊」の季語で落ち着きます。

木耳の銀の雨音聴いてゐる  幹夫
○(小玲)中国料理には欠かせないキクラゲですね。銀の雨が綺麗で木耳の花の形と「雨音聴いてゐる」とがとてもマッチしています。

雨音のぼつてり重き白菖蒲  アネモネ
○(泉)白菖蒲の咲いている様が、上手く表現されていると思います。
○(餡子)菖蒲園の雨の雰囲気がよく表現されていると思います。

(選外)(徹)「ぼってり」という表現に心を引かれました.
(選外)(幹夫)夏季語「白菖蒲」の句。花菖蒲は日本の代表的な初夏の園芸植物であり、花色には紫・白・淡紅などがある。雨音のことを擬態語「ぽつてり」との表現が面白く共感。「白菖蒲雨のせせらぎも亦白  幹夫」

無数の採寸噴水左脳澄む  吾郎
○(幹夫)夏の生活季語「噴水」の句。散りばむ採寸の噴水を、所謂感性の右脳ではなく論理的な左脳でとらえたことに納得する。回文であって噴水をしっかり写生している。「噴水の赤青黄色散り散りに  幹夫」散りばむ噴水は綺麗で私にとって亡き父との小さい頃の大切な思い出の一つだ。

盲目の青年の弾く夏調べ  小玲
◎(幹夫)「分からない色の黄色は分からない黄色の声は弾んでいるね」という歌は約1年前の日本経済新聞文化欄・生徒の短歌コンクールでの全盲の高校生によるものである。今月妻との婚姻記念日でもあった6月7日アメリカで行われたバン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでの辻井伸行さん(20歳)の快挙は未だ忘れがたく、表彰式で栄誉を称えるバン・クライバーン氏から抱きしめられ抱き返した瞬間には妻と共に泣いた。「全盲の青年叩く鍵盤の調べは永遠の光なりけり  幹夫」一首詠む。
◎(典子)題材が素敵です。生まれながらして盲目の辻井さんのコンクール優勝には、賞賛の言葉さえ見い出せないほどです。天性と努力、そしてご両親の愛情の賜物だと思います。一緒に死のうとさえ思ったことがあるという辻井さんのお母さんに、青年は最上の親孝行を果たしました。

(選外)(宙虫)題材がいまを押さえているのですが、その事実を置いただけという弱点があり、ちょっともったいない。

昼の月みるみる垂るる蜘蛛の糸  アネモネ
○(吾郎)取り合わせの妙。いいですね。シルエットがなにか不吉かも。
○(幹夫)夏の動物季語「蜘蛛の糸」の句。空に浮かぶ白い昼の下弦の月を背景に蜘蛛の糸をスピーディーに作るおぞましき蜘蛛とが遠近感で詠まれている。「雨垂れを弾き震えぬ蜘蛛の糸  幹夫」と蜘蛛囲には雨が似合うが、月も似合うと知った。
◎(宙虫)面白い。蜘蛛がどこから降りてくるのか、考えるだけでスリラーファンはぞくぞくします。

(選外)(徹)すばっしこい蜘蛛の動きを一瞬にとらえ,昼の月との取り合わせ,心憎い句です.

少女等のざらつく言葉町薄暑  餡子

(選外)(幹夫)夏の時候季語「薄暑」の句。「少女」との優しい語彙である中、「ざらつく言葉」とは近頃の若者への辛辣な指導であり共感。「赤色の服よく似合ふ町薄暑  幹夫」は女性讃歌。

缶ビール空っぽいささか惚けたか  珠子

(選外)(徹)飄々とした悟りの境地を感じました.

引き絞る弓万緑の中にあり  幹夫
◎(徹)今にも矢が放たれようとする緊張感がすばらしい句と思います.
○(小玲)弓道場にある四方の万緑の中に弓の糸が引かれようとする緊張のその一瞬が感じられます.
○(餡子)さわやかな景ですね。そして緊張の一瞬が伝わってきます。

(選外)(泉)圧倒的な緑の中に、人間の緊張感と集中力が際立って来ます。

浮草の夢に暮しの重さかな  泉

せせらぎに落ちて牡丹は舟の旅  典子

(選外)(徹)牡丹を舟に見立て,落ちても悠々と旅するというのに心を引かれました.
(選外)(幹夫)夏の植物季語「浮草」の句。暮らしの重さは夢か現(うつつ)か。「浮草の終の住処の定まらず  幹夫」
(選外)(宙虫)「牡丹は」で意味が不明になってしまったような。もったいない。川下りしていたら牡丹が川に落ちたという読みにならずに、牡丹が舟の旅をしているという比喩になってしまった。やはりきちんと切るべきでしょう。好きなだけに惜しい。

緑陰の鬼が追われる鬼ごっこ  宙虫
○(アネモネ)リズムがナイスです。
○(餡子)重なり言葉あるいは繰り返し言葉のおもしろさがあります。

(選外)(徹)子供たちに注がれる暖かいまなざしを感じました.

虻飛んで動ぜぬ牛はやはり牛  徹
○(吾郎)ごもっともでございます、モォ〜〜。
○(典子)小さな虻と大きな牛との取り合わせが良いと思います。
〇(宙虫)何も意外性がない展開が意外で意外に面白いかも。

(選外)(幹夫)春季語「虻」の句。確かに大きな牛にはたかがアブ如きのチクリなんて動じることもない。「牛はやっぱり牛である」とに説得力がある。「ざわざわと牛の尻押す新樹かな  幹夫」と詠んでみた。
 
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