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兼題「量」
苫屋の名遥か量る花の大和 吾郎
○(泉)戦艦大和の勇姿が、目に見えるようです。
(選外)(幹夫)遥か苫屋根は大和風情だ。
線量計貸出記録風光る 珠子
(選外)(幹夫)避難者はいつフクシマに帰ることが出来るのだろうか。
線量の数値いろいろ鳥曇 アネモネ
○ (多実生) 線量計の単位や数値は全く馴染みないものですすが、深刻さだけは充分感じます。
急に増す雪解の水を量りかね 徹
致死量のさくらあなたと見るさくら 餡子
◎(吾郎)あなたと観るさくら‥‥の落とし方が見事。
◎(アネモネ)ある意味甘いけれど「致死量の桜」に魅かれます。
◎(敏)西行もこんな満開の桜を仰ぎながら、帰ることのない旅に発って行ったのでしょう。掲句に出てくる「あなた」を元北面の武士であった遊行の人に重ねて味わってみました。
春愁を量るおもりのやや錆びて まきえっと
◎(餡子)春愁を量る。若い頃は、重たかった!歳を取るにつれて「まあいいか」が増えてきました。おもりを使うことも少なくなり、錆び付いてきたのでしょうか。意表をつかれました。
◎ (多実生) 天秤ばかりは原理的に地球の重力による誤差はない。春愁を量るのは感でしょうけれど、感の鈍りをおもりの錆と表現したのは大変ユニークで面白い。
○(泉)よく分らないのですが、感性が鈍くなった、という事でしょうか。
○(宙虫)年齢を重ねるにつけ、こういう感覚慣れっこになってしまうんですね。
力量を桜に問はれゐたるかな ひなこ
○(珠子)何気ない句ですが、力量を問われたのは私かと身につまされまして。「桜に」というところに素晴らしい感性を感じます。
目分量で取り分け浸す土筆んぼ 敏
見掛けでは見えぬ力量遠霞 多実生
〇(アネモネ)「見掛けでは見えぬ力」がなかなか。「霞」は付き過ぎ。一考の余地あり。
みちのくに無量の春の雪積る 幹夫
◯(吾郎)なんとも切ないような、それでいて達観したような。
○(珠子)みちのくのあちこちで四月の雪となり、小学校の入学式も雪だったとか。いとけない子等の入学式ぐらい暖かであってほしいものを。全くもって無量。
○(敏)復旧・復興のなかなかに進まない被災地に降り積もる雪。本来、明るい季節の到来を期待出来る春の雪にも拘わらず、無情な感懐が募ってきそうです。
適量の睡眠とれぬ花いかだ 宙虫
推し量る相手の気持春の雪 泉
テーマ「建造物」
棟上の主役はクレーン春の空 多実生
◎(徹)ダイナミックな情景が活きています.
○(幹夫)棟上式にお餅を貰いに行った昔の記憶。古めかしい棟上という表現に対し、現代ならではのクレーンが春の空をぐんと突き出ている景が詠まれている。
ループ橋ぐるりん桜さくらかな ひなこ
○(まきえっと)ループ橋というと、河津を思い出します。「ぐるりん」が良いと思います。
○(餡子)結構いろいろなところに、ループ橋はありますね。伊豆のどこだったかしら、今頃は桜が満開でしょう。春の景として、あたたかさを感じます。
◎(泉)桜の中を走っているような感覚でしょう。
花ふぶき石橋の石抜けている 宙虫
○(ひなこ)不安定な感じが好き。
○(敏)不思議な風合いの句です。単に、石造りの橋に穴(?)が開いていて、吹雪いた花片がそこに吸われていくというよりも、能の石橋(しゃっきょう)の一場面のようなイメージが湧いてきてしまうからかも知れません。
春虹の片脚懸けりカテドラル 敏
春雨のグラバー邸から港まで 幹夫
○(珠子)「春雨の似合う景色百選」に入りそうなところだと改めて思ったのです。「マダムバタフライ」の蝶々さんの家とダブってしまうからなのでしょうか。
冴返る時刻変わりし朝の駅 徹
げんげ田や大仏御座す屋根の下 まきえっと
木造の校舎最後の卒業式 泉
○(まきえっと)最後という言葉が、木造の校舎と卒業式を引き立てています。
○(餡子)テレビでやっていましたね。岡山のほうだったかな。子供たちが雑巾がけやら窓ふきをして綺麗にしていました。記念に残しておくと聞きほっとしました。
○ (多実生) 私も、小中高で学んだ木造校舎はすでになく、木造では無いにしても勤務した工場も移転して更地、時の流れを感じます。
○(幹夫)句は、RC造の新校舎への引っ越し、或いは過疎の小学生での最後の卒業式だろうか。壺井栄「二十四の瞳」舞台の小豆島の当時のオルガンのある小学生を訪れた事があり、私は後者を読んだ。古き物と子供達の新た門出卒業式とが対比で詠まれている。
城壁の物見櫓に囀れり アネモネ
○(徹)平和の世の城壁,囀りにも静かなたたずまいがしのばれます.
(選外)(敏)お城の櫓に巣くった鳥って、どんな鳥でしょうか。きっと物見高い性格の持ち主でしょうね。
陽炎やビルに埋もれる東京駅 餡子
日曜の春泥乾く石畳 珠子
○(ひなこ)泥が乾いて、春らしいですね。
桜烏賊隠すモスクか快楽さ 吾郎
〇(アネモネ)呪文のようなこの曖昧な措辞がいかにも「モスクか快楽」!
自由題
沼の名は残り桜のIT団地 宙虫
茶柱のなかなか立たぬ利休の忌 幹夫
◯(吾郎)いろいろと思いを馳せることができますね。
○(まきえっと)茶柱は立ったのでしょうか?
○ (宙虫)利休には茶柱は関係ないのでしょうが、利休は、こんなにくだけてお茶のんだことあるのでしょうか?
(選外)(敏)最近、茶柱を見掛けなくなったのは、手揉みが少なくなって、多くが機械揉みによるためだそうですね。もっとも、利休居士がたてるお茶は粉茶でしょうから、茶柱はご存じなかったかも知れません。
雑踏という春愁の濃きところ 餡子
○(徹)「春愁の濃き」は斬新な表現です.
○(ひなこ)都会では春愁が固まって動いているのみたい。
○(敏)人混みの中での孤独感は、誰でもがしばしば味わうところだと思います。わけても、春爛漫に浮かれ出た雑踏はまさしく愁いの「濃きところ」でしょう。わかります、わかります。
○(宙虫)読むだけで頭が痛くなります。ひと酔いも春愁のひとつ。
オルガンの音階もれ来花菜雨 敏
菜の花を摘んで恋人岬へと ひなこ
〇(アネモネ)いいですねえこの甘さ!
○ (多実生) 菜の花の明るさが良く、更に恋人岬がいいですね。
○(幹夫)伊豆市恋人岬のラブコールベル「愛の鐘」を3回鳴らすと恋愛が成就すると言われている。妻との初めての旅行は伊豆の修善寺、4月生まれの長女には菜の花が一面に咲き乱れていたので奈々と名付けた。季語「菜の花」が相応しく詠まれている。
営業の肩に優しき春の雨 泉
○(徹)小雨なのでしょう.傘もささずに顧客のもとへ向かう営業マンが彷彿とします.
◎(幹夫)傘もささずネクタイを締める営業マンに、土を潤し草木を育て暖かさをもたらす春雨が優しく詠まれている。頑張れセールスマン!
開花宣言漏れ門限世界化 吾郎
白蓮や今日もリュックを背負うひと 徹
春夕焼台詞持たない通行人 まきえっと
いちめんのコインロッカー鳥雲に アネモネ
◎(まきえっと)大きな駅は確かに「いちめんに」ですね。なるほど。
◎(珠子)最初はこの組み合わせにびっくりしただけだったのですが、気になって繰り返し読むたびに惹かれてゆきました。季語がかなり効いています。
○(餡子)おおきな駅にはどこにでもあるのでしょうが、私は、上野駅のあの通路にあるロッカーをおもいうかべました。季語が効いていますね。
◎半地下にあるコインロッカーがこのように見えます。鳥雲にがいいですね。読めば読むほど味がある。
幼子と二人ババ抜き春炬燵 多実生
○(泉)のどかな春のひと時、良いですね。
アルパカの尻ふたつ撮る万愚節 珠子
◯(吾郎)面白い光景。季語とアルパカの語感が見事にマッチング。
◎(ひなこ)とぼけたアングル、けだるさがいい。
(選外)(敏)このアルパカは、実際の動物ではなしに、服飾品のそれでしょうね。揃いも揃って、二人共同じアレンジのアルパカのお尻が並んでいるのでしょう。それに万愚節を斡旋したところ、機知に富んでいます。
★★★★★★
遅くなりました。
とうとう発熱。
38度の熱を出してダウンしています。
みなさんも、お気をつけください。
明日は花散らす雨・・・・。
もう、熊本市内はおしまいだろうと思います。
楽しめる方は、この季節じっくり楽しみたいものですね。
次回告知は、明日中を予定しています。
それまでご歓談を・・・・・。
http://musinandanikki.at.webry.info/
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